Story数学の面白さを、手に取れる形に
はじめに惹かれたのは、香りではなくフラクタルの構造でした。同じ規則が繰り返し現れる図形を、画面の中だけでなく、手に取れるものにしたいと考えました。
長くITエンジニアとして働いてきた自分は、アロマを買ったことがありませんでした。花や自然、癒しの言葉で語られる香りの商品に、自分の居場所を感じなかったからです。数学や工学を入口にすれば、同じようにアロマの棚を素通りしてきた人にも届くのではないか——そう考えました。
画面の中のものは何度でも作り直せますが、焼き物はそうはいきません。焼くと縮む陶土で、図形をどう成立させるか。凹みをどこまで深くすれば型から抜けるか。答えは、瀬戸の窯元とのやり取りの中にありました。